霞が関が袖手傍観ではインパクトも説得力もない

執筆者:渥美由喜 2008年1月号
カテゴリ: 経済政策・社会保障
エリア: 日本

 今回は、二〇〇七年内に政府が策定する予定の「ワークライフバランス憲章」、「行動指針」(以下、憲章・指針)を取り上げたい。 憲章・指針は、WLB(ワークライフバランス)の指標をいくつか設定し、五年後、十年後の目標値を掲げて進捗状況を点検していく。例えば、女性の育児休業取得率は現状の七割から八割へ、男性の育児休業取得率は現状の〇・五%から一〇%へ。既婚女性の就労継続率も年齢別に目標値が掲げられる。 本連載でも再三述べてきたように少子化を克服するためにはWLBの推進は必要不可欠だ。憲章に書かれている言葉の中には、以前から私がずっと主張してきた内容と重なる部分も多い。したがって、憲章・指針を全面否定するつもりはない。 しかし、政府が数値目標を掲げてWLBの推進を目指すという枠組みには、限界も感じる。 第一に、数値自体はWLBの結果に過ぎず、解釈は単純ではない。例えば、育休取得率の向上が働きやすい環境を示すとは限らない。育休取得には、三つのロス(所得ロス・キャリアロス・業務知識ロス)がある。祖父母サポートや〇歳児から預けられる保育サービスがあれば、産休後ただちに職場復帰したい女性もいるだろう。保育サービスの絶対量が不足しているという最重要課題を覆い隠すための目くらましに見えなくもない。

この記事は役に立ちましたか?
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
この記事をSNSにシェアする
執筆者プロフィール
comment:0
icon
  • 記事の閲覧、コメントの投稿には、会員登録が必要になります。
フォーサイトのお申し込み
注目記事ランキング
  • 24時間
  • 1週間
  • f
  • 新着
  • 高評価
  • コメント数順