スイス 特色ある「職業教育」の転機

執筆者:石山新平 2008年1月号
カテゴリ: 国際 文化・歴史 金融
エリア: ヨーロッパ

「国土は狭く、天然資源に恵まれず、人だけが資本。類まれな勤勉性と国民全般にいきわたる高い教育で、近代以降、未曾有の経済発展を遂げた」 こう書くと、多くの読者は日本のことを言っていると思うに違いない。だが残念ながら答えは違う。欧州大陸の中央に位置する小国スイスのことである。 人口わずか七百五十万人に過ぎないスイスは、明らかに「小国」である。だが、その経済規模や金融センターという視点からみれば、れっきとした経済先進国。この欧州の山国がどうやって成功を収め、世界有数の経済大国へと駆け上っていったかをみると、東洋の小さな島国でありながら経済大国と呼ばれるようになった、わが日本の歩みと重なる部分が多い。 とくに、冒頭に記したように、唯一の資産としての「人材」が国の発展を担ったという点、そしてその人材を育てるために「教育」が大きな役割を果たしたという点は、驚くばかりに共通している。 このところ日本では「教育再生」が大きなテーマになっている。この点、スイスも似通っている。とくに、国を取り巻く環境が構造的に変化していることもあって、伝統的な初等教育の方法に国民の間から疑問の声が上がっているのだ。 世界経済フォーラム(WEF)が実施した「グローバル競争力報告二〇〇七年版」では、スイスは総合順位で米国に次ぐ二位を占めた(日本は八位)。WEF自体がスイスの民間組織ということもあり、多分に贔屓目に見た側面が強いとはいえ、技術革新力やインフラ、優秀な労働力という点で高い得点を稼いだ。

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