内陸部の省に脚光を集めた“四十三年ぶりの大発見”は、どうやら英雄と省政府の「創作劇」。暴露の決定打を放ったのはネットだった……。 午後八時ごろ、若い女性会社員が家路を急いでいたら、道端で四、五歳の男の子がしくしく泣いていた。声をかけても「家に帰りたい」と泣きじゃくるばかり。途方にくれたが、ふとズボンのポケットを見ると、住所らしき地名を記した紙切れが。子供の手を引き、何人にもたずね、たどり着いたのは地方から出てきた農民工らが集住するスラムだった。子供は記憶を頼りに、いくつもの路地を曲がり何度も間違えて、ようやく長屋風の一部屋の前で立ち止まり、指差した。ホッとした女性会社員が粗末な門鈴(呼び鈴)を押すと……。
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