ガソリン不足の原因は逆ざや拡大のジレンマ

執筆者:五味康平 2008年1月号
エリア: 中国・台湾

 中国でガソリン、ディーゼル油などの品薄が依然続き、マイカー通勤やトラック輸送に大きな影響が出ている。原因は、国家発展改革委員会が、二大石油会社の中国石油化工集団(シノペック)と中国石油天然気集団(ペトロチャイナ)に石油製品の安易な価格引き上げを認めていないことだ。背景に、原油価格急騰に伴うガソリンなどの値上がりで、ただでさえ上昇が目立つ消費者物価が一段と押し上げられかねないとの懸念がある。結果、両社は石油精製・販売部門で深刻な逆ざや状態に追い込まれ、精製量を落とすことで赤字を最小化する行動に出た。それが北京、南京、杭州、広東省など幅広い地域でガソリンスタンドからガソリン、ディーゼル油が消える現象を生んだ。 発展改革委は二〇〇七年十一月一日付で、各石油製品の卸値をそれぞれ一トンあたり五百元値上げすることを認めた。さらに東アジアサミットに出席した温家宝首相が外遊先で石油業界に増産を指示するなど異例の厳しい姿勢を示したことで、ペトロチャイナなども供給増にようやく重い腰をあげた。両社は十一月だけで二十万トン前後のディーゼル油をシンガポールから輸入し、品薄状態の厳しい華南地域などで販売したが、たちまち売り切れ、焼け石に水。消費者の視線は安定供給を実現できない政府にも向けられている。

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