日本企業も逃れられない「EU競争法」の脅威

執筆者:信夫聡 2008年2月号
カテゴリ: 国際
エリア: ヨーロッパ

[ブリュッセル発]欧州連合(EU)の欧州委員会によるカルテル摘発が昨年一年間を通じて猛威を振るった。「EU競争法」(独占禁止法)を根拠に、東芝、三菱電機、ソニー、YKKなどの日本企業も続々と摘発され、カルテル行為に関する制裁金総額は、一年間で三十三億ユーロ(約五千四百億円)に上った。日本航空や全日空を含む国際貨物カルテルの調査も着々と進んでおり、今後、摘発が加速するのは確実とみられている。「消費者を欺くカルテル企業を決して容赦しない」。クルス欧州委員(競争政策担当)は記者会見で強気の発言を繰り返す。一九八〇年代にオランダの運輸相を務めた後、大企業十数社の役員・相談役に就任。「ビジネス寄りだ」との批判の声もあったが、二〇〇四年の委員就任後、カルテルに関する制裁金総額は〇四年三億九千万ユーロ、〇五年六億八千三百万ユーロ、〇六年十八億四千六百万ユーロと拡大の一途だ。 欧州委が厳しい競争政策を推進する背景には、加盟二十七カ国で約五億人の人口を抱える「先進国で最大の市場」の管理・監督を通じて、EU競争法を「国際標準化」したい思惑がある。政治統合が遅れがちな中、競争政策で経済成長を促し、経済統合を強力に進めることは、「強いEU」を維持し、内外にアピールするためにも不可欠だ。

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