インテリジェンス・ナウ

銃を向け合うシロビキ内部抗争にどっちつかずのプーチン

執筆者:春名幹男 2008年2月号
エリア: ヨーロッパ

 昨年末の十二月二十日は、旧ソ連の政治警察「反革命・サボタージュ取締全ロシア非常委員会」(略称チェーカー)の創設九十周年記念日だった。ジェルジンスキー議長の下、当初の要員は二十三人しかいなかった。 旧ソ連共産党の治安・情報機関はその後、国家保安部(GPU)、合同国家保安部(OGPU)、内務人民委員部(NKVD)、一九五四年から国家保安委員会(KGB)と名を変えて拡大、強化されたが、九一年末のソ連崩壊で解体、分割された。後身には、現在の連邦保安局(FSB)、対外情報局(SVR)などがある。 世界最大の情報機関だったKGBはソ連崩壊で屈辱と苦難の時代をくぐり抜けた。国を売り、仲間を裏切って、仇敵米国に亡命した高官もいた。KGBスパイを経てFSB長官を務めた経歴を持つプーチン大統領自身がそんな歴史の生き証人だった。

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執筆者プロフィール
春名幹男(はるなみきお) 1946年京都市生れ。国際アナリスト、NPO法人インテリジェンス研究所理事。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授、早稲田大学客員教授を歴任。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『米中冷戦と日本』(PHP)、『仮面の日米同盟』(文春新書)などがある。
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