李明博政権で方向転換する韓国政治――金泳三の復活と金大中の没落

執筆者:黒田勝弘 2008年3月号
エリア: アジア

二月二十五日、韓国に十年ぶりの保守政権が発足する。経営者としての経歴が注目を集める新大統領だが、その誕生の陰には今も大きな力を持つ一人の政治家の存在があった。[ソウル発]昨年末の大統領選で保守野党ハンナラ党の李明博が当選した後、一月十一日夕、ソウル中心街のロッテホテルの大宴会場で「金泳三大統領八十歳(傘寿)祝賀パーティー」が開かれた。韓国ではいちど大統領をやると、退任した後でもずっと「大統領」といわれる。金泳三は一九九三年から九八年まで在任したから、実際は「元」なのだが。 パーティーは出席者が約六百人でテーブルに着席し、食事は洋食でワイン付きのフルコースだった。会場はマスコミの取材陣や当選したばかりの李明博次期大統領の警護関係者などもふくめ、人びとであふれ返っていた。筆者をはじめ外国人記者も招かれた。金泳三の政治人生や業績を紹介する映像や、要人のスピーチ、歌曲競演などもあり、祝賀宴は熱気にあふれ遅くまで盛り上がった。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
黒田勝弘(くろだかつひろ) 産経新聞ソウル駐在客員論説委員。1941年生れ。共同通信ソウル支局長、産経新聞ソウル支局長兼論説委員を経て現職。2005年度には日本記者クラブ賞、菊池寛賞を受賞。在韓30年。日本を代表するコリア・ウォッチャーで、韓国マスコミにも登場し意見を述べている。『“日本離れ”できない韓国』(文春新書)、『ソウル発 これが韓国主義』(阪急コミュニケーションズ)など著書多数。
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