「改革の東芝」が売られる理由は何か

2008年3月号
カテゴリ: 経済・ビジネス

大胆に「選択と集中」を進めてきた東芝が株価を下げ続けている。市場がつきつけているのは日本の電機メーカーに共通の課題だ。 年明けから日本の株式市場で異変が起こっている。西田厚聡社長のリーダーシップの下、矢継ぎ早の買収攻勢をかけながら事業・資産の売却を進めて「選択と集中」を実践し、電機メーカー経営のお手本的存在になった東芝の株価が、意外なことに低迷。対照的に事業再編成の中途半端さや、残した事業の競争力の低さがたびたび指摘される日立製作所の株価に、逆転を許してしまった。 株価逆転は昨年五月にも起こっている。そのときは一時的な現象で終わったが、今回は違う。昨秋以降、東芝の株価がほぼ一本調子で下落しているのに対し、日立は九月に安値を付けて以来、株価が一時的に下落しても着実に買われ、踏みとどまっている。まるで、半導体の市況次第で業績が大きく振れがちな東芝の株価を財務体質や期間業績の安定度に勝る日立が上回るという一九九〇年代までの「株式市場の常識」が復活しそうな勢いなのだ。 東芝の何が市場で不興を買っているのか。西田社長が実行してきた「選択と集中」の具体策をみてみよう。 投資を「集中」させたコア(中核)事業は原子力発電と半導体だ。西田氏が社長に就任することが決まった直後から力を入れてきたのが原発事業の拡充である。二〇〇六年春、五千億円に迫る破格の値付けで米ウェスチングハウスを競り落とした。一方、半導体事業ではデジタルカメラや携帯音楽プレーヤーで急速に普及するフラッシュメモリーに注力する。〇六年春以来、第四―第六工場までの建設に二兆円近くを投資する方針を決定。さらに昨秋、ソニーから最新鋭マイクロプロセッサー「CELL(セル)」生産事業を千三百億円で今年三月までに買収することで合意した。

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