北アフリカに伸びた「アルカイダ」の魔の手

執筆者:萩文明 2008年3月号
エリア: アフリカ 中東

[カイロ発]今年一月、世界で最も過酷な自動車レースと言われるダカール・ラリー(パリ・ダカ)が開幕直前、治安悪化で中止に追い込まれた。
 直接の引き金は昨年十二月末、走行区間のアフリカ北西部モーリタニアで、旧宗主国のフランス人一家四人が殺害された事件。実行犯の男二人はかつて、モーリタニアの隣国アルジェリアを拠点とするイスラム過激派「イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ組織」(AQIM)の前身組織の一員だった。AQIMがパリ・ダカを中止に追い込んだのだ。
 AQIMは昨年、活動を急速に活発化させ、十二月には首都アルジェで国連機関を狙った同時爆弾テロを起こし、三十七人を殺害した。「北アフリカ」を意味する「マグレブ」諸国で現在、最大のテロ組織だ。マグレブ地域に加え、地中海を挟んだ欧州もテロの標的にとらえている。

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