日本の存在感が試される南米・地デジ覇権争い

執筆者:市川亮太 2008年3月号
カテゴリ: 国際 経済・ビジネス
エリア: 中南米

昨年十二月、ブラジルで海外初の日本式地上デジタル放送がスタートした。これを皮切りに日本は欧州方式優勢の現状を覆せるのか――。[サンパウロ発]「ブラジルのテレビ放送界はきょうからデジタル時代に入った。ここサンパウロから、技術的、経済的、社会的、そして文化的な大きな飛躍のプロセスが始まった」――。昨年十二月二日、ブラジル最大都市サンパウロ市で行なわれたテレビ地上デジタル放送開始式典で、同国のルラ大統領は高らかに宣言した。海外で初めて採用された地デジ日本方式。日本政府や電波産業界は、南米の盟主ブラジルを自陣営に獲得したのを機に、同地域での日本方式「覇権」を夢見て普及活動に取り組んでいる。 日本では二〇〇三年十二月に開始された地上デジタル放送。世界には大別して、米国で開発されたATSC方式、欧州で開発されたDVB-T方式、日本で開発されたISDB-T方式の三種類が存在する。日本方式は建物が過密な都市部でも鮮明な画像を得られる上、携帯端末で受信できる(ワンセグ)という他にはない特長を持ち、技術的に三方式の中で最も優れる。しかし、アナログ技術の改良に固執したが故にデジタルでは最後発となった上、「技術にこだわり、ぜいたくな機能を盛り込んだ」(日本メーカー関係者)ため、送信設備投資は欧州方式の六―八倍すると言われ、世界的には欧州方式が圧倒的優位に立っている。ちなみに、米国方式は北米、韓国などで採用されている。

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