たび重なる薬害放置を恥じない心性

2008年4月号
カテゴリ: 経済政策・社会保障
エリア: 日本

人間は、ここまで開き直れるものだろうか。長年の被害拡大放置にも、一片たりとも反省の色を見せないトップの顔を見よ。 今年一月十一日、特定C型肝炎ウイルス感染者救済特別措置法、いわゆる「薬害肝炎一律救済法」が国会で成立した。 この法律は、全国五カ所で提起された薬害C型肝炎訴訟の解決に向け、国が薬害被害者に給付金を支給することを定めたもので、福田康夫首相の政治決断に基づいて与党が法案をまとめ、野党も含めた全会一致で可決された。十五日には国と薬害訴訟原告団が和解の基本合意書を締結し、二月四日に大阪、福岡両高裁で初の和解が成立、他の訴訟も順次和解する見通しだ。 血液製剤によるC型肝炎感染の被害者が一万人以上と推定されるのに対し、一律救済法に沿って給付金が支給されるのは千人程度、総額約二百億円と見込まれている。昨年十二月に国が「事実上の全員救済」として打ち出し原告団に拒否された和解案と、対象人数も国が支払う金額でも大きな差はない。 何が違うのかと言えば、十二月の和解案で示された「全員救済」が「国の責任は認めないが金は払う」ことを意味したのに対し、法律の「一律救済」には「国が感染者すべてについて一律に責任を認める」趣旨が込められている点だ。薬害拡大の責任を国が認めることこそ原告団の求めたものであり、首相の政治決断が必要だったのも、行政責任をできるだけ広く認めるという姿勢だった。

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