本誌が届いたらまず巻末を開き、徳岡孝夫氏のコラム「クオ・ヴァディス」から目を通す読者が多いに違いない。かつて「諸君!」という雑誌もそのように読まれた。山本夏彦氏のコラム「笑わぬでもなし」が続いていたころである。 夏彦氏が六年前の秋に逝って以来、真っ先に巻末を読者に開かせる名コラムといったら、徳岡氏の本誌連載の他にない。氏もそう意識して書き継いでいるに違いない、と評者はにらんでいる。その連載の中から拾い集めて一冊に編んだのが『「民主主義」を疑え!』である。 腰帯には「新聞、テレビはなぜ堕落したか?」とある。本文第四章はずばり「『マス・メディア』を疑え」とあるから、大手メディアに勤める評者に書評を求めた本誌編集部の意図も、ははーん、と呑み込めた。夏彦流にいえば「意地悪は死なず」である。でも、くじけず筆をとる。
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