【ブックハンティング】膝を打たせるコラムとはこんなコラムのことだ

執筆者:会田弘継 2008年4月号

 本誌が届いたらまず巻末を開き、徳岡孝夫氏のコラム「クオ・ヴァディス」から目を通す読者が多いに違いない。かつて「諸君!」という雑誌もそのように読まれた。山本夏彦氏のコラム「笑わぬでもなし」が続いていたころである。 夏彦氏が六年前の秋に逝って以来、真っ先に巻末を読者に開かせる名コラムといったら、徳岡氏の本誌連載の他にない。氏もそう意識して書き継いでいるに違いない、と評者はにらんでいる。その連載の中から拾い集めて一冊に編んだのが『「民主主義」を疑え!』である。 腰帯には「新聞、テレビはなぜ堕落したか?」とある。本文第四章はずばり「『マス・メディア』を疑え」とあるから、大手メディアに勤める評者に書評を求めた本誌編集部の意図も、ははーん、と呑み込めた。夏彦流にいえば「意地悪は死なず」である。でも、くじけず筆をとる。

カテゴリ: カルチャー
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執筆者プロフィール
会田弘継(あいだひろつぐ) 関西大学客員教授、ジャーナリスト。1951年生まれ。東京外語大英米語科卒。共同通信ジュネーブ支局長、ワシントン支局長、論説委員長などを務め、現在は共同通信客員論税委員、関西大学客員教授。近著に『世界の知性が語る「特別な日本』』 (新潮新書)『破綻するアメリカ』(岩波現代全書)、『トランプ現象とアメリカ保守思想』(左右社)、『増補改訂版 追跡・アメリカの思想家たち』(中公文庫)など。訳書にフランシス・フクヤマ著『政治の衰退』(講談社)など。
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