JUDOの「柔道」回帰はありうるのか

執筆者:生島淳 2008年4月号
カテゴリ: スポーツ

 昨年、柔道界で衝撃的だったニュースは、国際柔道連盟(IJF)の理事選挙で、「世界のヤマシタ」が敗れたことだった。 山下泰裕氏はロサンゼルス五輪(一九八四年)無差別級金メダル、全日本柔道選手権九連覇という、不世出の柔道家である。その山下氏が落選したという事実から、現在のIJFの方向性が浮かび上がってくる。 欧州柔道連盟は五一年にIJFと名前を変え、国際的な統括団体になった。翌年、IJFへの加盟を拒んでいた日本も傘下に入り、この時から国際スポーツである「JUDO」と「柔道」の戦いの波に飲まれていく。 柔道とJUDOの間には大きな隔たりがある。柔道には精神的な修養の意味合いが強く、一本を取ることを目的とする。JUDOはスポーツの要素が強く、細かくポイントを重ねて勝利することを是とする風潮がある。大きな違いは、「有効」、「効果」のポイントを設定してきたことだ。 この五十年間、JUDOは国際的な広がりを見せてきた。特にフランスでは底辺拡大が目ざましく、現在の競技登録人口が日本の約二十万人に対し、フランスは約六十万人。すでに草の根では日本は諸外国の後塵を拝している。「国際政治」の世界でも、九五年にIJF会長に就任した朴容晟(韓国)時代から、柔道は大きな変化を遂げる。

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執筆者プロフィール
生島淳 1967年生れ。広告代理店勤務を経て93年よりライターとして活躍。著書に『大国アメリカはスポーツで動く』(新潮社)など。
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