頼みの「経済」でも深い霧の中に突入した中国

執筆者:新田賢吾 2008年5月号
カテゴリ: 国際 金融
エリア: 中国・台湾

チベット騒乱で批判を浴びる中国。好調だった経済でも、外資撤退、輸出減速、インフレの昂進など、五里霧中の状況に――。 八月八日に開幕する北京五輪の聖火リレーがパリ、サンフランシスコなど世界各地でチベット支持者の抗議行動を受ける最中、中国の通貨、人民元が一ドル六元台に突入した。二〇〇五年七月に一ドル約八・二八元の実質固定レートから約二%切り上げられ、変動幅も拡大された後、人民元はじりじりと上昇を続け、遂に七元を突破した。だが、これは単なる為替水準の大台替わりとばかりはいえない。一〇%を超える高成長を続けてきた中国経済が先の見えない不安な領域に入ってきたことを象徴している、とみるべきなのだ。 今年二月の中国の輸出は前年同月比六・五%増と、二〇%台の増加が当たり前だった一月以前に比べ急減速した。とりわけ中国の最大の輸出先国である米国向けは五・二%減とマイナスに転じた。三月には持ち直し、まだ増え続ける輸出を、単月の減速だけをとって不安視する声はいまだ大きくはない。だが、その背景に目を向ければ、中国の輸出競争力の低下は明確になりつつある。 上海市政府は四月一日から市内の労働者に適用する最低賃金を一四%引き上げ、月額九百六十元(約一万四千円)にした。上海は昨年九月に一二%引き上げたばかりで、「常軌を逸した賃金高騰」と日系メーカー関係者は批判する。上海だけでなく、深センから北京、大連まで外資系企業の進出先となっている沿海地域では、過去四、五年、最低賃金が急速に引き上げられた。

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