「安重根の遺骨」をめぐり韓国と中国の間にすきま風

2008年5月号
カテゴリ: 国際

 朝鮮独立運動家にして伊藤博文の暗殺者、安重根の遺骨発掘作業が難航している。三月二十六日に韓国政府の発掘調査団が中国・遼寧省大連市で着手したが成果はなく中断。四月中旬をメドに新たな装備を投入し精密調査を行なう考えだという。 一九〇九年、中国ハルビン駅頭で初代韓国統監を務めた伊藤枢密院議長を暗殺、旅順監獄(中国名は日露監獄)に移送された安は、翌一〇年、絞首刑となった。程度の差はあれ韓国、北朝鮮ともに安を評価、二〇〇六年には南北が共同調査し、遺体は監獄の裏山に埋葬された可能性が高いと結論づけていた。 今年三月以降、この裏山一帯でマンション建設が始まることを韓国側が確認。かねて現場保存を中国政府に求めていた韓国政府は「事前通報もなく、あまりに突然」と慌てて駆けつけた。 監獄は、中国海軍北海艦隊の軍港を抱え対外非開放の大連市・旅順口区にあり、中国は反日(および反ロシア)教育の拠点に活用。参観の子供たちを前にガイドは「日本侵略分子は抗日運動家らの魂が蘇らないよう閉じ込めるため、処刑後の遺体をわざわざ折り曲げて埋葬した」と、複製した「桶棺」を指差して解説するなど、海外の目を気にせず怪しげな歴史教育を展開している。もちろん日本人は特別許可を得なければここを訪れることはできない。

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