消費者庁の「必要性」と抵抗勢力の“大義名分”

執筆者:鶴岡憲一 2008年5月号
エリア: アジア

消費者の安全を確保するには、どのような「一元化」が理想的なのか。そうした本筋の議論の前に、例によって“官の屁理屈”が立ち塞がる。 首相官邸の二階にある小ホール。緑の絨毯に瑞穂の意匠があしらわれ、土の塗り壁にはススキをモチーフにした模様が刻まれている。毎週月曜日と木曜日に事務次官会議が開かれるこの空間で今、彼らが猛反発する新組織の案が練られている。「消費者庁(仮称)」。福田康夫首相の肝煎りで設置された消費者行政推進会議は五月までに最終報告書をまとめる。名称こそ未定だが、狙いは明確だ。各省庁から消費者行政にかかわる部署と権限をひきはがし、ひとつにまとめて政策の企画立案や法執行、省庁への勧告まですべてを担当させようというのである。

カテゴリ: 政治 社会
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