【インタビュー】ビレ・アウグスト(映画監督) マンデラの“信念”を証明したある白人看守の物語

執筆者:草生亜紀子 2008年5月号

「ネルソン・マンデラが偉大な指導者であることは誰だって知っている。アパルトヘイト(人種隔離政策)が終わった時、彼がいなければ南アフリカ共和国は内戦に陥っていただろう。むしろ、私が描きたかったのは彼の人間的な魅力だ」――この言葉に違わず、ビレ・アウグスト監督は、映画『マンデラの名もなき看守』で、マンデラ氏のカリスマ性や聡明さ、ユーモアのセンスや温かみを余すところなく描くことに成功している。 事実に基づく物語の舞台はアパルトヘイト下の南ア。そして主人公は、黒人は南ア少数派の白人にとって脅威だと考える白人看守ジェームズ・グレゴリーだ。子供の頃に農場で共に遊んだ黒人少年から学んだコーサ語が使えることから、収監されていたマンデラの担当に抜擢される。最初はマンデラを最悪のテロリストだと思いこんでいたグレゴリーだが、その思想と人柄に触れるうち、アパルトヘイトの誤りに気づいていく。 今年七月に九十歳になるマンデラ氏は、大学で法律を学んだ後、ANC(アフリカ民族会議=現与党、当時は非合法組織)に入党し、黒人解放運動に身を投じる。一九六二年から九〇年まで二十七年余投獄されるも信念を曲げず、国際社会の圧力に負けた白人政権によって釈放され、九三年にノーベル平和賞を受賞。九四年、南ア初の民主的な選挙で選ばれ初代大統領になった。グレゴリーは、六八年から釈放時まで、直接間接にマンデラ担当の看守であり続けた。

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