車両製造を革新した日立の「Aトレインで行こう」――海を越える日本の鉄道車両 2

執筆者:船木春仁 2008年5月号
カテゴリ: 経済・ビジネス

 新幹線を使っても、飛行機を使っても結局は五時間近くかかってしまう。日立製作所笠戸事業所のある山口県下松市は、地元の人が「本当にここは東京から来にくい場所で」と同情してくれるような町だ。しかしこの町は、巨大な石油化学コンビナートを擁する隣の周南市と共に、日本を代表する重工業の町でもある。 鉄道発祥の地・イギリスで、日本の車両メーカーとしては初めて高速通勤車両の受注に成功した日立製作所。昨夏には、秋田新幹線「こまち」をベースにした新型車両が現地に到着。現在は試運転を続けており、この夏には受注した一八〇両の量産が始まる。その拠点となるのが笠戸事業所だ。「試運転による改良報告なども織り込んだ量産態勢の準備を進めている」と田中智仁・笠戸事業所総務部部長代理は語る。 笠戸事業所は日立製作所のなかでは茨城県日立工場に次ぐ歴史ある工場だ。一九一七年(大正六年)に日立グループの創業者である久原房之助によって日本汽船笠戸造船所として設立され、一九二〇年から蒸気機関車の製造を始める。久原は山口県萩市の出身で、設立の際、「下松を東洋のマンチェスターにする」と宣言したという。当時の英マンチェスターといえば、世界屈指の重工業の町だった。

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