インド(下) 救いのない公立学校の実態

執筆者:ラムタヌ・マイトゥラ 2008年5月号
カテゴリ: 国際 文化・歴史

 インド国内に存在するほんの一握りのエリート校から目を転じ、国土全体を見渡すと、国の未来を背負うべき何億人もの子供たちを置き去りにするインド教育の複雑さと不十分さが見えてくる。実際、質の高い教育を受けられるごく少数と、そうではない圧倒的大多数の子供たちとの間の格差は、先進国ではあり得ないほど凄まじいものだ。「十四歳以下の国民に対し、国は無償の義務教育を与える努力をする」――インド憲法第四十五条は、すべての子供に初等教育を施すことを謳っており、一九四七年の独立から六十年を経た現在、少なくとも名目上は、ほとんどの子供が通える範囲に学校がある。 だが中退率は高く、多くの子供は基礎的な読み書き・計算能力さえ身につけていない。広大な国土と十一億もの人口をもつインドにとって、教育の質向上は尋常ならざる難題なのだ。 まず、インドには学校に通っていない子供が数多く存在する。恵まれない子供を優先的に入学させたり、正規の学校でなくとも学べるようにするなど、あらゆる階層の子供を教育システムに取り込もうとする努力はそれなりに払われてきた。しかし、人的資源開発省は、二〇〇三年末の時点で、六歳から十四歳までの学齢期の子供のうち一千万人が学校に通っていないと発表。実態はもっと酷く、三千五百万人から六千万人の子供が学校に通っていないとする推計もある。紛争や天災によって孤児となったり、労働に従事させられていたり、スラム街で暮らしていたりと、学校に通えない事情は様々だ。

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