富裕層へのサービスが悪徳幹部の隠れ蓑に?

執筆者:日暮高則 2008年5月号
カテゴリ: 国際 経済・ビジネス
エリア: 中国・台湾

 中国交通銀行は三月二十四日、続いて中国工商銀行が同月二十七日、上海でプライベートバンキング(PB)サービスを開始した。富裕層が多くなってこの種の需要が高まっているようで、昨年三月に中国銀行がこのサービスを始めて以来、同年中に招商銀行、中信銀行、華夏銀行が追随し、今春になって前述の大手二行も参入した。「今年はPB飛躍発展の年になる」と銀行関係者は明るい見通しを示す。しかし一方で、中国にはいまだ名前を詐称した架空口座が多く、中央や地方の共産党・政府の悪徳幹部の隠れ蓑に使われる疑念は消えない。 PBは、高額預金者に対し銀行側がポートフォリオを組み、世界的な視野でファンドの分散投資を指南するもの。株式への投資と比べると、安全性が高いといわれる。交通銀の最低預金限度額は二百万米ドルで、これまで百万米ドル以上の中信銀、一千万人民元(約七元=一ドル)以上の招商銀、八百万人民元以上の中国銀、百万人民元以上の華夏銀と比べると、破格の高額預金者を対象とする。ちなみに、ほぼ同時期スタートの工商銀の最低限度額は八百万人民元と、中国銀並みの“地味”な額。 中国でもともとPBを始めたのは欧米系銀行だ。二〇〇五年九月にスイスAIGプライベートバンク上海代表所が最初にこの業務をスタートさせたが、対象はあくまで中国国内に住む外国人だった。このあと、〇六年から、米シティバンク、英スタンダード・チャータード銀行などが続き、対象者を徐々に中国人に広げた。そうした外銀の商売の“うまみ”を見て、中国系銀行も追随したようだ。

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