リヒテンシュタインを狙え「銀行守秘義務」に苛立つドイツの実力行使

2008年5月号
エリア: ヨーロッパ

 ドイツの巨額脱税事件が欧州の金融界を揺さぶっている。郵便・物流大手のドイツポスト会長ツムヴィンケル氏が約百万ユーロ(約一億六千万円)の脱税容疑で取り調べを受け、引責辞任した。検察はほかに千人以上のデータを握っているとされ、問題はさらに拡大しそうだ。 きっかけは、スイスとオーストリアの間にある小国、リヒテンシュタイン公国のLGT銀行の顧客リストが、元行員によって不正に持ち出されたこと。この資料をドイツの諜報機関が高額で買い取っていたことが判明、米国のCIA(中央情報局)の関与も疑われている。ことは単なる脱税事件ではなく、リヒテンシュタインに代表されるタックスヘイブン(租税回避地)諸国と、ドイツや米国などとの間に横たわる長年の「制度問題」に波及している。

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