新聞界「弱肉強食」の包囲網のターゲット

執筆者:中川一徳 2008年5月号

いつしか形成された包囲網におののいた毎日新聞は、苦肉のコストカットに走った。一方、勝ち組に出来るのもパイの奪い合い……。 三月中旬、新聞の輸送で大幅な遅延を引き起こした毎日新聞の経営は、不透明感と動揺を抱えたままだ。表面上は大きな混乱は収束したものの、いつまた再発してもおかしくない不安定な状態が続いている。 毎日新聞は内外で深刻な隘路に入り込んだのかもしれない。外では昨年十月に形成された朝日新聞、日本経済新聞、読売新聞の勝ち組連合(ANY)が、事実上の毎日包囲網となっている。その象徴が、読売と朝日が足並みを揃えて行なった紙面の段組変更だ。そして毎日の内側から起きた輸送の混乱は、この包囲網による焦燥感とも無縁ではなく、負の連鎖が始まったようにも見える。 輸送遅延がもたらした「しわ寄せ」は広範囲に及んだ。 最大の被害を被ったのは、いうまでもなく販売店と読者である。毎日が輸送会社を変更した初日、次のような光景が見られた。都下西部の毎日専売店では、通常朝刊は午前二時に着くはずが一時間二十分もの遅延。この輸送コースを新たに受け持つのは大阪府に本社を置く軽貨急配の下請けトラック運転手。顔を引きつらせて十数個の新聞束を降ろして同店を後にしたが、二、三百メートル走ったところで停車。車内灯を点けて地図を広げている。携帯電話で指示を仰ぎ、埼玉方面に向けて出発するまでさらに十分近くがかかった。

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