「チャイナ・フリー」か「フリー・チベット」か

執筆者:名越健郎 2008年5月号
エリア: アジア

 5月上旬に計画されている中国の胡錦濤国家主席の日本公式訪問を前に、「ギョーザ」「ガス田」「チベット」の三重苦が日中関係に影を落としている。首脳外交で求心力を取り戻したい親中派の福田首相だが、思惑通りには進みそうもない。 特に冷凍ギョーザ問題では、殺虫剤混入の経緯をめぐって日中の見解が分かれ、両国民の感情的な対立に発展。落とし所が見つかる気配はない。 ギョーザ問題は明らかに中国の分が悪い。中国側が食品の安全性をアピールしても、8月の北京五輪を前に、各国の警戒感が強まるばかりだ。米国で生まれた新語「チャイナ・フリー(中国製品を含まない)」のシールは、全米のスーパーやデパートのあちこちに貼ってある。

カテゴリ:
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
名越健郎(なごしけんろう) 1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長、編集局次長、仙台支社長を歴任。2011年、同社退社。拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学特任教授を経て、2022年から拓殖大学特任教授。著書に、『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書)、『ジョークで読む世界ウラ事情』(日経プレミアシリーズ)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top