社長派遣で進む東急百貨店の「伊勢丹」化

2008年6月号
カテゴリ: 経済・ビジネス

 三越の次に伊勢丹の傘下に入るのは東急百貨店になりそうだ。東急百貨店は水田寛和社長(七〇)が会長に退き、伊勢丹の石津谷悦朗常勤監査役(六二)を社長に迎えた。一九七二年にスカウトした元大丸東京店長の田中正佐氏が七八年に社長に就いて以来、三十年ぶりのグループ企業以外からのトップ就任である。 石津谷氏は六八年に早大を卒業して伊勢丹に入社。伊勢丹社長の武藤信一氏と同期の入社だ。伊勢丹時代は、早くから社長候補と目されていた武藤氏らの陰で目立たなかったが、営業一筋で店舗運営部長やMD(マーチャンダイジング)統括部長を担当し部下から温厚な紳士と慕われていたという。取締役専務執行役員の後、二年前に監査役に就任したが、上がりのポストではなく、系列デパートに送り出すための待機ではなかったか、という声もある。 東急百貨店と伊勢丹は昨年三月に業務提携し、伊勢丹から二名の執行役員を取締役に送り込んでいる。今回の石津谷氏の社長就任を伊勢丹では「業務提携で東急百貨店に役員を派遣し業務改革を進めてきたが、さらに第二段階として営業力を強化するため」(広報部)と説明するが、一月に東急の水田社長(当時)の方から伊勢丹に社長派遣を要請したものだった。三年前に上場廃止し東急電鉄が完全子会社化した東急百貨店の「伊勢丹化」は親会社の電鉄にとって急務だったようだ。

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