ついに中国農民が「土地所有権宣言」を始めた

執筆者:鈴木孝昌 2008年6月号
カテゴリ: 国際
エリア: 中国・台湾

その動きは黒竜江省から始まった。「第二次土地革命」の胎動は、共産党支配体制を根底から揺るがしつつある。[北京発]チベット騒動を武力で押さえ込んだ中国だが、共産党体制をより根幹から揺るがす事態が九億人の農村で進行している。開発によって農地を強制収用され、生活の糧を奪われた農民たちが「土地所有権宣言」を発表して農地の奪回に動き出したのだ。農地は「集団所有」とする共産党の大原則に反旗を翻し、農地の「私有化」を堂々と表明している。宣言は全国に広がる気配を見せており、地主の土地を農民に分け与えた中国革命当時に次ぐ「第二次土地革命」とも叫ばれている。 土地革命のうねりは昨年十二月、ロシア国境に近い黒竜江省の富錦市から起こった。十三年前、不動産開発を理由に強制収用された農地十万ヘクタールについて、四万人の農民が「土地所有権宣言」を発表。勝手に開発計画を進めた村長を罷免し奪い返した土地を農民に分配するとし、区画の線引きまでしてしまった。 中国農民にとって歴史的文書とも言える宣言は、「土地は農民の命であり、農民の最大の人権である」と訴える。「政府幹部や開発業者らは国家のためという口実で農民の土地を私物化して“地主”となり、土地の主人であるべき農民は“農奴”となってしまった」「略奪され、抑圧されるのはもうたくさんだ」「共産党は『耕す者が土地を持つ』という革命の理想に戻り、農民の土地に対する権利を守るべきだ」と。その上で「農民は土地の使用権、継承権、処分権を含む土地所有権を有する。開発者に対しては交渉同意権と補償請求権を有する」と明言している。

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