“消費者保護”を掲げ権限拡大を狙う経産省

執筆者:青葉久喜 2008年6月号
エリア: 日本

悪徳業者に処分連発――一見悪いことではなさそうだが、大義名分を振りかざして権限を拡大するのは、役人のいつものやり口だ。 今年三月、ある宗教法人に「業務停止命令」が出された。処分を受けたのは千葉県袖ケ浦市に本部を置く「幸運乃光」という宗教法人。高島易断総本部という通称(高島易断所とは無関係)を使って、易鑑定に訪れた人に「このままでは地獄に落ちる」「祈願すれば因縁が消える」などと告げ、祈願や高価な数珠や石塔の販売などを行なったという。程度の差こそあれ、新興宗教団体などでしばしばトラブルになってきた商法といえるだろう。 ところが、行政処分を下したのは宗教法人を監督する文部科学省ではなかった。経済産業省が特定商取引法という法律に基づいて三カ月間の業務停止を命令したのだ。もちろん宗教法人に対する業務停止は前例がない。いつの間に経産省は宗教法人にまで業務停止を命じる権限を手にしていたのだろうか。 実は昨年六月、経産省は特定商取引法の施行令、つまり政令を改正していた。その際、同法で規制する対象に(1)みそ、しょうゆその他の調味料(2)易断に基づき助言、指導その他の援助を行なうサービス(3)決済用資金を預かって行なう商品先物取引などの取引仲介サービス――の三つを加えていたのだ。問題の宗教法人は(2)の商取引の主体として規制対象になっていたわけだ。

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