いつから「赤字国債」と言わなくなったのだろう。借金を後世にツケ回す仕組みについに亀裂が入り始めた。 何度も語られてきた「国家の財政破綻」が、いまほど現実味を帯びて感じられることはない。破綻の引き金はこれまでの想定――高齢化による福祉予算の膨張、企業の海外移転や景気停滞による税収減、あるいは首都を襲う大地震など――とはまったく違う。現実に起こっているのは、日本の財政当局が手懐けたはずのマーケットの反乱だ。主役は国債である。 財政再建が叫ばれて三十年。政府の長期債務は六百兆円を上回り、年金も含めれば八百兆円を超えながらも日本が“破綻”しなかったのは、国債を滞りなく発行し、切れ目なく借金を重ねてこられたからに他ならない。言い換えれば、止めれば倒れる自転車操業だ。
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