ヤンキースタジアムをだれが壊したのか

執筆者:ブラッド・レフトン 2008年7月号
タグ: 日本

「なぜ、あの廂がないんだ?」 思わずつぶやいていた。一九九七年春、取材でヤンキースタジアムを訪れた私は、迷路のような狭いトンネルを抜け、幼い頃からの夢だった神聖なるグラウンドに足を踏み入れた。その瞬間の興奮に息をのんだ後、“ベーブ・ルースが築き上げた家”のスタンドを見上げ、写真で見慣れた観客席の廂を探した。王冠を逆さにしたような形でスタンドを飾っているやつだ。 しかし、そこにはあの“象徴”はなく、平凡な張り出しが何の特徴もない線を描いているだけだった。興奮から落胆へ。今も世界チャンピオン獲得記念のロゴマークに使われている有名な廂を、いつ、だれが取り壊したのか。

カテゴリ: スポーツ
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執筆者プロフィール
ブラッド・レフトン(ぶらっどれふとん) 1962年、米ミズーリ州セントルイス生れ。地元ラジオ局で大リーグ取材に携わった後、92年ミシガン大学で修士号取得。その後、NHKの番組制作に携わるため来日。96年帰国。現在、日米両国の雑誌やテレビでフリージャーナリストとして活躍中。NHKの日本人メジャーリーガーの取材にも協力している。
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