サミットを前に「省エネ大国」の神話を捨てよ

執筆者:塩谷喜雄 2008年7月号
エリア: 日本

環境サミットで議論をリードしようにも、“自己認識”が違っていては、世界の冷ややかな視線を浴びることに。日本の真実とは――。 六月九日に福田首相が発表した地球温暖化対策の提案、「福田ビジョン」は、中身の評価以前にそのタイミングをいぶかる声が政府部内からも聞こえてきた。洞爺湖サミットの一カ月前、中心議題である温暖化問題で議論をリードする決意を、内外に示すタイミングとしては悪くない。問題は踏むべき手順の省略だ。 温暖化戦略を練るために今春設けられた首相直轄の「有識者懇談会」が十六日に報告をまとめることになっていた。そのわずか一週間前、懇談会の存在など眼中にないかのように福田ビジョンを公表して見せたのは何故だろうか。三顧の礼を尽くして懇談会の座長に迎えたはずの前日本経団連会長、奥田碩・トヨタ自動車相談役の顔をつぶすことになっても公表を急ぐほどの大事とは何なのだろうか。 その謎を解く鍵は、ビジョン公表直前の首相の訪欧にあるのかもしれない。後期高齢者医療制度の問題が噴出して、ゴールデンウイーク中の訪欧を断念した首相だが、サミットの成功には欧州の首脳との個人的信頼関係が欠かせないとして、食料サミットへの出席を兼ね、駆け足で英仏独伊の首脳と会談を重ねた。

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執筆者プロフィール
塩谷喜雄 科学ジャーナリスト。1946年生れ。東北大学理学部卒業後、71年日本経済新聞社入社。科学技術部次長などを経て、97年より論説委員。コラム「春秋」「中外時評」などを担当した。2010年9月退社。
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