ブックハンティング・クラシックス
ブックハンティング・クラシックス(40)

日本の子どもと親を救った病気への対応法と「個性尊重」

執筆者:毛利子来 2008年7月号
カテゴリ: 文化・歴史 書評

『定本育児の百科』松田道雄著岩波書店 1999年刊(本書の元となった『育児の百科』は1967年刊)『定本育児の百科(上・中・下)』松田道雄著岩波文庫 2007年刊『育育児典』毛利子来・山田真著岩波書店 2007年刊 これは、一九六〇年代末から九〇年代にかけて、一世を風靡したロングベストセラーの育児書だ。百六十四万部も売れたというからすごい。 それだけ、この本をバイブルのようにして、子どもを育てた人と育てられた人が多いにちがいない。 だが、今ではもう、その存在は遠くなってしまったようだ。ぼくが講演会でこの本の著者松田道雄を知っている人はいますかと聞いても、ほんの数人しか手を挙げてくれない。つい「知っている人は、もうトシなんだな」とからかってしまう。無理もないことだ。なにしろ、松田道雄は今から十年前に八十九歳で亡くなっている。時代もずいぶん変わった。 しかし、それにしても、この本が消えゆくのは、なかなかに忍びがたい。時代を超えた高度な質を失っていないからだ。 私事で恐縮だが、ぼく自身、松田道雄には、大きな影響を受けている。ぼくが小児科医を志して以来、その前には常に大先輩として松田さんがおられた。松田さんの著書には、凡百の育児書にも医学の専門書にも欠ける思想性があり、生活のリアリティもあった。

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