ロシアを日本にすり寄らせる「北朝鮮利権」

名越健郎
執筆者:名越健郎 2008年8月号
カテゴリ: 国際
エリア: ロシア 朝鮮半島

日朝国交正常化後の莫大な利権を狙っているのは日本の政治家だけではない。ロシアの日本寄りの姿勢の背後にも……。「(拉致被害者の)横田めぐみさんはほぼ確実に生きている。もちろん彼女の現在の居所もロシアが把握している」――。「高位のロシア外交当局者」が語ったというこんな奇妙な記事が、今年初め、週刊現代(一月十九日号)に掲載された。 このリポートによれば、「ロシアは二〇〇一年に続いてこのほど二度目の本格的な日本人拉致被害者の実態調査を北朝鮮国内で行い、その結果、めぐみさんは〇一年以降、平壌から地方に移住させられたが、自宅でDVDを見たり、小説を読み、一人で元気に暮らしている」という。 ロシア外務省高官がこの種の情報をメディアに語るはずがない。報道はあまりに突拍子もなさすぎて話題にも上らなかった。 ただ、ロシア情報機関が日本人拉致問題に関心を示しているのは事実のようだ。平壌に駐在する欧州連合(EU)加盟国のある外交官は東京で、めぐみさん生存説は「確認不可能」としながら、「ロシアの外交官らは拉致問題を調べているようだ。彼らは平壌の一等地にある巨大な大使館に四十人近いスタッフを置き、伝統的な情報ルートを持つ。数人態勢の後発大使館より情報収集能力は高い」と述べていた。

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執筆者プロフィール
名越健郎
名越健郎 1953年岡山県生れ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長を歴任。2011年、同社退社。現在、拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学東アジア調査研究センター特任教授。著書に『クレムリン秘密文書は語る―闇の日ソ関係史』(中公新書)、『独裁者たちへ!!―ひと口レジスタンス459』(講談社)、『ジョークで読む国際政治』(新潮新書)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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