音楽業界で進む「世界的大変化」とは何か

執筆者:北谷賢司 2008年8月号

世界のレコード業界が“存亡の危機”に直面している。CDの売上げ激減の一方で進む二大興行会社への“寡占化”。その波は日本へも及ぶ。 レコード産業は滅び、興行会社の時代がやって来る――欧米のエンタテインメント業界では、今や常識である。実際、レコード業界の主要商品、CDの売上げは急速に落ち込んでいる。北米ではこの現象が著しく、米国では二〇〇七年に前年比一九%減、カナダも二一%減となった。欧州でもイタリアが一四%減、フランス、スペインが一二%減で、日本と同率の衰退を見せた。 衰退の要因は主に四つある。 (1)まず、CDの売行き減少が止まらないことから、小売店舗が棚を縮小したことが大きい。ウォルマートなど北米の大型店舗は〇八年にCD用の棚をさらに三割縮小するといわれ、負のスパイラルが止まらない。 (2)次に、デジタル・ダウンロード・ビジネスの予想以上の足踏みも、レコード会社を脅かしている。P2P(ピア・ツー・ピア)ネットワーク上で個人同士の間で行なわれてきた楽曲の違法ダウンロードは、一見、止まったかの印象があるが、実際は一カ月に十億曲のペースで続いている。これに対し、レコード会社などが運営する合法サイトは一定の成長を見せてはいるものの、楽曲を単品販売する新方式は、まとめ買いを強要していたレコードやCDのアルバム販売と比べものにならないほど利益率は低い。さらに競争の激化により、〇七年四月から十月までのわずか半年の間に、北米では一曲の平均価格が一ドル二十九セントから八十九セントにまで下落した。

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