温泉旅館の知恵の結集「事業所内保育施設」に学べ

執筆者:渥美由喜 2008年8月号
カテゴリ: 経済政策・社会保障
エリア: 日本

 先日、石川県和倉温泉にある老舗の旅館「加賀屋」に行き、事業所内保育施設を見学してきた。 加賀屋は、毎年一月に発表される「プロが選ぶ日本のホテル・旅館百選」(旅行新聞新社主催)で、直近まで二十八年連続で総合一位を獲得している。質の高いサービスが、全国の旅行業関係者、旅行ジャーナリストなどから圧倒的な支持を得ている、日本を代表する旅館だ。 同社では、二十年以上も前から事業所内保育施設「カンガルーハウス」を運営してきた。母親が旅館で働いている間、一歳以上の園児十人、小学生二十六人がここで過ごしている。八階建てビルの一階部分が保育施設、二階以上が母子寮になっており、職育近接、育住隣接の環境が整備されている。 例えば、客室係の女性が午前六時に子どもを預けて出勤し、休憩時間となる午前十一時にいったん帰宅し、子どもと一緒に過ごした後、午後三時に再出勤するという生活が可能だ。 シングルマザーが子育てしながら家計を支えるのは、容易ではない。しかし、加賀屋には手厚いサポート体制があるため、全国から優秀な女性たちが集まってくるという。 似たような事例は他にもある。クリーニング店チェーンを首都圏で展開している「喜久屋」は、シングルマザーを店舗オーナーとして起用する支援をしている。開業時に必要な研修費や営業権料の免除、年収の保証などがあり、店内には子どもが遊べる二畳分ほどのキッズルームも設置、子育てをしながら仕事のできる環境を整えている。

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