独ポストバンク争奪戦から始まる欧州銀行再編

執筆者:石山新平 2008年8月号
エリア: ヨーロッパ

ドイツ最大のリテール銀行を狙う各国の金融機関。そこから導火線に火がつき、欧州の金融地図が一気に塗り替わる可能性も――。 欧州で金融機関の再編が胎動し始めた。台風の目はドイツ。郵貯民営化会社であるポストバンクが売りに出ているのだ。 ポストバンクといえば、資産規模ではドイツで十三位に過ぎないものの、顧客口座数ではドイツ最大のリテール(小口金融)銀行だ。全国に九千カ所という郵便局ネットワークは圧倒的な強みで、ドイツ国内の他の銀行はもちろん、欧州諸国の銀行も買収を虎視眈々と狙っている模様だ。「買い手は英国のロイズTSBと(独銀最大手の)ドイツ銀行の二行に絞られた」。英国系メディアは六月末にこんな報道を流した。だが、事はそう単純に収まりそうにない情勢だ。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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