サルコジ「地中海連合」の野心的“見切り発車”

一年前から準備を進めてきた構想をついに現実化。ドイツなどの反発を買いながらも進める野心的な試みの成否は――。[パリ発]七月十四日、フランス革命記念日に催されるパリ・シャンゼリゼ大通りの軍隊行進は、中級国家になって久しいこの国が年一度、せめてもの国威を示す機会だ。その装いが、今年はひときわ派手だった。欧州連合(EU)加盟国と地中海沿岸諸国の首脳が出席。サルコジ大統領は彼らを従え、終点のコンコルド広場に設けられたスタンドに意気揚々と立った。あたかも、ナポレオン時代のフランスの版図を復活させたかのようだった。

フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
国末憲人(くにすえのりと) 東京大学先端科学技術研究センター特任教授 1963年岡山県生まれ。85年大阪大学卒業。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞社に入社。パリ支局長、論説委員、GLOBE編集長、朝日新聞ヨーロッパ総局長などを歴任した。2024年1月より現職。著書に『ロシア・ウクライナ戦争 近景と遠景』(岩波書店)、『ポピュリズム化する世界』(プレジデント社)、『自爆テロリストの正体』『サルコジ』『ミシュラン 三つ星と世界戦略』(いずれも新潮社)、『イラク戦争の深淵』『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『巨大「実験国家」EUは生き残れるのか?』(いずれも草思社)、『ユネスコ「無形文化遺産」』(平凡社)、『テロリストの誕生 イスラム過激派テロの虚像と実像』(草思社)など多数。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top