深層レポート 日本の政治
深層レポート 日本の政治(103)

「正攻法」なのに分かりにくい福田流政治の「手際」

2008年8月号
カテゴリ: 政治
エリア: 日本

 衆院選勝利に政治生命を賭けると公言している民主党の小沢一郎代表は、この一年あまり、国会内での仕事はそこそこにして全国行脚による地方票のてこ入れに余念がなかった。昨年七月の参院選大勝にも、自らの地方回りが果たした役割が大きいと自負しているからだ。小沢氏が照準を合わせているのは、民主党左派の強力な支持基盤である連合傘下の労働組合票と農村票だ。特に最近の小沢氏は、地方に出ても、自民党幹部らのような街頭演説や大ホールでの講演に労力を費やすことは少なくなった。むしろ、労組幹部との懇談や農村地帯訪問に力を入れている。 奈良県北西部にある葛城市のネギ畑を小沢氏が視察したのは六月十日のことだ。スーツに革靴という服装の小沢氏は、「ズボンが汚れますよ」という周囲の忠告を振り切って、そのままかまわずに畑に入っていった。畝と畝の間をずかずかと進むと、農家の人の説明を受けながらネギの株に手をかけて一気に引っこ抜いてみせた。そして、だめを押すかのように「民主党が今度政権を取れば、もっと本格的に(農家への補助を)やるから……」とにっこり。畑からほど近いネギ出荷場では、「はい、はい、どうも~」と声を張り上げて作業場に接近。ネギを重量ごとに選別していく老人たちの見事な手さばきを見て、「ネギを手に取ったら、ぱっと目方(重さ)が分かるんだねえ」と感嘆の声を上げつつ、国会では見せたことがない満面の笑顔を振りまいてがっちり握手した。

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