クオ・ヴァディス きみはどこへいくのか?

米国の集団妊娠協定 ホントにホント?

執筆者:徳岡孝夫 2008年8月号
エリア: 北米

 よく社会面に出る記事である。生後一年にもならない赤ん坊を「同居している義理の父親」が、何度も床に叩きつけて殺した、という種類の話。警察が捕えた容疑者の職業は、たいてい「無職」、年齢はどうかすると十代である。 それを裏返したような事件も、近頃は多い。秋田県の彩香ちゃん殺しはそれだった。かわいそうに幼女は、実の母の手で橋から突き落とされて死んだ。 望まれずに生まれた子の受難である。母親は性行為がどんな結果をもたらすか、知らないではないが、深く考えるのが面倒臭く、男は雄の本能むき出しで迫ってくる。つい許しちゃう。二度三度と繰り返す。そのうちに、できちゃう。

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執筆者プロフィール
徳岡孝夫(とくおかたかお) 1930年大阪府生れ。京都大学文学部卒。毎日新聞社に入り、大阪本社社会部、サンデー毎日、英文毎日記者を務める。ベトナム戦争中には東南アジア特派員。1985年、学芸部編集委員を最後に退社、フリーに。主著に『五衰の人―三島由紀夫私記―』(第10回新潮学芸賞受賞)、『妻の肖像』『「民主主義」を疑え!』。訳書に、A・トフラー『第三の波』、D・キーン『日本文学史』など。86年に菊池寛賞受賞。
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