世界を襲う「肥料危機」とカーギルの深謀

執筆者: 2008年9月号

肥料なくして農業はできない。穀物価格高騰の陰で目ざとく原料を押さえた企業があった。そして「肥料自給率」がゼロに近い日本は――。 野菜や果物は土の中の栄養を吸って成長する。それらを収穫したあと、もういちど農作物を育てるには、失われた栄養を土の中に戻してやらなければならない。それが肥料だ。適切に用いれば、持ち去られた栄養を戻すだけでなく、単位面積当たりの収穫量を増やすこともできる。 国連の予測では、二〇〇六年に六十五億人だった世界人口は、開発途上国を中心に増え、二〇年に七十七億人、五〇年には九十二億人に達するとされる。人類の胃袋は大きくなる一方だが、農地は限られる。需要をまかなうために肥料は不可欠だ。

カテゴリ: 経済・ビジネス
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top