「市場の変化」について行けない金融庁の迷走

執筆者:本田真澄 2008年9月号
エリア: 日本

厳格な検査を続けるのは当然だ。だが、この時代にシステムにも新たな金融商品にも通じていないで、何を“仕事”にしようというのか。「システムに通じた人材もおらず問題の軽重が判断しきれないのに検査や監督で下手に指摘すれば、システム障害が起きた時に『なぜ改善させられなかったのか』と“痛い腹”を探られる。システム障害を百パーセント未然に防ぐことは土台無理。金融機関側の自己責任にしておいた方が行政の責任を問われなくて済む」 三菱東京UFJ銀行が旧東京三菱と旧UFJのオンラインシステム完全統合リハーサルを重ねていた今春、金融庁関係者はこう声を潜めた。 欧米でも例がない全国四千万口座を持つメガバンクの「世紀のシステム統合」。金融当局としては五月からの完全統合に向けて大規模トラブルの芽がないか目を皿にして徹底検査するのが筋だろう。しかし、今の金融庁にシステム問題に通じたスタッフは乏しく、本番に向けた最終検査は三菱東京UFJ銀関係者が「拍子抜けした」というほどあっさり終わった。その結果、統合作業初日の五月十二日、提携先のコンビニATM(現金自動預払機)で預金が引き出せないトラブルが発生。他に、東京証券取引所も今年に入って三回も大規模なシステム障害を起こしているが、それらも金融当局による「チェック不在」が影響している。

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