最強インテルをEUが追い詰める

執筆者:天城晴彦 2008年9月号
カテゴリ: 国際 経済・ビジネス
エリア: ヨーロッパ 北米

[ブリュッセル発]超小型演算処理装置(MPU)で八割のシェアを握る世界最大手の米インテルに対し、欧州連合(EU)の欧州委員会が近くEU競争法(独占禁止法)違反の判定を下す可能性が高まってきた。 欧州委は七月十七日、インテルの独禁法違反に関して新たな事実が判明したと発表、同社に補完的な告知書を送ったことを認めた。昨年七月の告知書送付に続く独禁法調査の手続きにあたる。告知書の詳細な内容は公表されていないが、MPU取引をめぐるインテルの行為が「市場から競合相手の米アドバンスト・マイクロ・デバイシズ(AMD)の排除を狙った戦略と考えられる」などと通告したもようだ。 EUの独禁法ルールでは、告知書を受け取った企業は八週間以内に反論書を出す権利が与えられる。欧州委とインテルがそれぞれの見解を表明する公聴会が開かれる公算もあるが、手続きが順調に進んだ場合、欧州委は九月中にも最終判定を示す見込みだ。独禁法違反と判定されれば、インテルには販売活動の見直しなどの是正措置と制裁金の支払いが命じられる。 関係者によると、欧州委はインテルが三つの不正な行為に関与したとみて独禁法違反の調査を進めている。まず欧州の大規模な小売店に対してインテル製のMPUが搭載されたパソコンのみを販売するという条件で相当額の報奨金(リベート)を支払った疑い。次にメーカーに報奨金を支払ってAMD製のMPU搭載機の製造を遅らせるように働きかけた疑いがあるとした。さらに、これらのメーカーにMPUをインテルから調達するという条件で報奨金を支払ったとも指摘している。実際に欧州委はインテル本体と並んで欧州の大規模小売店や流通業者、パソコンメーカーへの立ち入り調査も進めており、インテルが不正な行為にかかわった証拠を固めているとみられる。一方、インテルは「われわれの行動は適法だと確信している」とのコメントを発表。MPU市場は正常に機能しており、独禁法上の問題はないとの見解を示した。

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