ついに対ドルでパワー倍増通貨高を武器に米企業買収が加速

2008年9月号
カテゴリ: 国際 経済・ビジネス
エリア: ヨーロッパ

 強い通貨を背景に、欧州企業による米国企業の買収が目立ち始めた。バドワイザーを製造する米ビール大手アンハイザー・ブッシュを、ベルギーに本拠を置くビール大手のインベブが買収することで合意。またスイスの製薬大手ロシュは傘下の米バイオ医薬品大手ジェネンテックの完全子会社化を発表した。 今や最強の通貨となったユーロはこのほど、導入以来初めて一ユーロ=一・六ドル台に乗せた。ドルの崩落懸念が強まり、ドルへの信認が大きく揺らいでいるからだ。ユーロにほぼ連動しているスイスフランも同様に対ドルで高値圏にある。 インベブによるアンハイザー・ブッシュ株の買い付け価格は一株七十ドル。当初、六十五ドルでの買収提案に経営陣は拒絶する姿勢をみせたが、買収価格引き上げですんなり決着した。総額は五百二十億ドル、日本円にして五兆五千億円と巨額だが、欧州企業からすればこれでも割安にみえたに違いない。二〇〇〇年十月に一ユーロ=〇・八二ドル台の最安値を付けて以来、対ドルのユーロの価値はほぼ二倍となり、往時の半値で米国の名門を買えたのだから。 もともと米国企業の欧州企業に対するアレルギーは強い。ユーロが導入された一九九九年から二〇〇〇年にかけて、大西洋をまたいだ合併や買収が一時ブームになったものの、その後は影をひそめていた。スイスに本拠を置く食品世界最大手ネスレがチョコレートのハーシーの買収に動き、米国世論の猛烈な反発を食った例もある。

この記事は役に立ちましたか?
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
この記事をSNSにシェアする
執筆者プロフィール
comment:0
icon
  • 記事の閲覧、コメントの投稿には、会員登録が必要になります。
フォーサイトのお申し込み
価値あるバックナンバー
注目記事ランキング
  • 24時間
  • 1週間
  • f
  • 新着
  • 高評価
  • コメント数順