核で突っ張るイランに漂う「対米修復」の気配

春日孝之
執筆者:春日孝之 2008年9月号
カテゴリ: 国際
エリア: 中東

核開発をめぐる軍事行動も取り沙汰されてきたアメリカとイランの関係に、にわかに変化が兆し始めた。その“深層”には何が?[テヘラン発]「双方とも以前とは比較にならないほど真剣だ」。そう語るのは、イランと米国を行き来し、両国の関係修復に向けロビー活動を続けている在米イラン人、米ラトガース大学のアミール・アフマディ教授だ。「文明間の対話」を掲げて改革・開放政策を進めたハタミ大統領時代(一九九七―二〇〇五年)より、保守強硬派のアフマディネジャード政権の今の方が、より真剣に復交への道を模索しているというのだ。 アフマディ教授は、イランの核開発問題を巡り七月十九日にジュネーブで開かれた、国連安全保障理事会常任理事国(米英仏中露)とドイツ(5プラス1)を相手にした核問題協議と前後してテヘランに滞在。大統領や核交渉責任者のジャリリ最高安全保障委員会事務局長など体制要人と会合を重ねた。 核問題は近い将来、新たな局面を迎える可能性が出ている。ウラン濃縮活動の継続を断固として譲らないイランに対し、5プラス1が「凍結案」と呼ばれる妥協案を示しているからだ。イランが当面、「濃縮の停止」ではなく「濃縮拡大の停止」をする見返りに、米欧が新たな経済制裁を控えるというものだ。今回の協議で焦点になった凍結案は「イランにとって失うものは何もない」(テヘラン外交筋)内容だ。しかも、「濃縮停止が交渉開始の条件」と主張してきた米国が、協議にバーンズ国務次官を派遣するという譲歩も見せた。

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執筆者プロフィール
春日孝之
春日孝之  1961年生まれ。1985年、毎日新聞社入社。95~96年、米国フリーダムフォーラム財団特別研究員としてハワイ大学大学院(アジア・中東史)留学。ニューデリー、イスラマバード、テヘラン支局などを経て2012年4月よりアジア総局長。現在ヤンゴン支局長兼務。アフガン、イラン、ミャンマー報道でそれぞれボーン・上田記念国際記者賞候補。著書に『アフガニスタンから世界を見る』、『イランはこれからどうなるのか―「イスラム大国」の真実』、『未知なるミャンマー』。
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