特集●アメリカ大統領選挙の見えない帰趨 マケインの“危険な賭け”の狙い

執筆者:堀口晴正 2008年10月号
カテゴリ: 国際
エリア: 北米

[セントポール発]「サラ・ペイリンは生き残れるのか」――もちろん生物学的にではなく政治的に、しかも「あとひと月半」。それがアメリカの政治記者に共通する疑問だ。 全米では無名に近いアラスカ州知事からにわかに副大統領候補となったペイリンは、ベージュのジャケットと黒いスカート姿で演壇に姿を現した。ミネソタ州の州都セントポール。ジョン・マケイン上院議員とペイリンを正副大統領候補に指名する共和党大会は、アメリカンフットボールの試合にも使われる屋内競技場エクセル・エナジー・センターを舞台に九月一日から四日間の日程で行なわれた。最大の見せ場は、最終日のマケインによる指名受諾演説ではなく、その前夜、三日のペイリンによる三十分間のスピーチだった。 四十四歳のペイリンが副大統領候補に指名されたのはわずか六日前、民主党大会が幕を閉じた翌日のことだ。州知事在任期間は二年足らず。その前は人口約七千人ほどの小都市の市長だった。民主党の大統領候補バラク・オバマ上院議員に支持率で水をあけられたマケインが必要としていたのは「経験や安定感ではなく、一気に話題をさらえるロケットブースター」(米紙記者)だった。 そこで打った“奇策”、言葉を換えれば“危険な賭け”がペイリン起用にほかならない。いまのところ、その賭けは当たったようにも見える。支持率は急上昇し、共和党大会直後に行なわれた複数の世論調査では、初めてオバマを上回った。

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