利下げしたくない日銀が苦肉の「低め誘導」へ?

2008年10月号
エリア: 日本

 米国のサブプライム不況が長引くなか、日本も景気後退が鮮明になり、政財界の一部が再度の金融緩和を求めている。だが、白川方明総裁以下、日銀内の共通認識は「金利正常化の道半ば」であり、彼らにとって「正常化」が遠のく利下げは論外だ。 とはいえ、現実には景気底割れの気配が迫る。日銀は従来、インフレ予防を理由に利下げ圧力を跳ね返してきたが、原油が最高値の三割安となった今、やや分が悪い。しかも、解散・総選挙で政治に空白が生じれば、景気刺激に動けるのは日銀のみ。 そこで、政策決定会合を経て利下げを決定しなくとも、ほぼ同様の効果を得るための苦肉の策として浮上するのが、日々の裁量の範囲内で上げ下げできる金融調節の目標「無担保コール翌日物金利」の低め誘導だ。日銀が決める無担保コール翌日物金利は現在〇・五%であり、「低め誘導」といっても、日銀の金融調節指針を「〇・五%を下回るよう調節する」に変更するだけ。株価暴落時には〇・二五%に下げ、サブプライム問題の終息後は裁量で〇・五%近くに戻せる。円の短期金利低下は円安ドル高要因なので、ドル防衛の国際協調にもなる。政府に恩を売ることにもなり、将来の利上げ再開にも有利に働く。利下げに似たポーズを取るだけで結構得るものがあるが、「最大のネックは融通の利かない白川総裁」(日銀筋)だとか。

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