インテリジェンス・ナウ
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ブッシュ大統領の“教育”にはなから失敗したCIA

春名幹男
執筆者:春名幹男 2008年10月号
カテゴリ: 国際
エリア: 北米

 ブッシュ米政権の発足直後、ホワイトハウスでプーチン・ロシア大統領(現首相)にどう対応するか、議論になった。 二〇〇一年二月八―十日、プーチン大統領の本音を探る絶好のチャンスが到来する。プーチン氏がオーストリアでスロベニアおよびスロバキアの大統領と会談する予定だというのだ。 滞在先は首都ウィーンのホテル・インペリアル。市内中心部、ホーフブルク(王宮)や国立オペラ座、楽友協会などの歴史的建造物に近い元宮殿である。 米中央情報局(CIA)は、ここに滞在するプーチン氏を盗聴すべきだ、とブッシュ大統領に進言した。 元米ウォールストリート・ジャーナル紙記者でピューリツァー賞受賞者ロン・サスキンド氏の新著『ザ・ウェイ・オブ・ザ・ワールド』によると、ホテルの貴賓室の壁には以前からCIAの盗聴器が仕掛けられていた。切れたバッテリーを取り換えれば作動させられた。 だが、ブッシュ大統領の答はノーだった。「友人を盗聴するなんてことはしない」と答えたと言われる。ライス大統領補佐官(当時、現国務長官)も「リスクが大きすぎる。発見されるかもしれない」と反対した。 プーチンという人物は安全と思った場所ではとんでもない本音も漏らす。〇六年十月、モスクワでオルメルト・イスラエル首相との会談の冒頭、記者団が退席した後、マイクが入っているのに気付かず、「(カツァブ同国大統領は)とても強い男。女性十人を暴行した。うらやましい」と言ったのが聞こえた。

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執筆者プロフィール
春名幹男
春名幹男 1946年京都市生れ。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒業。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授を経て、現在、早稲田大学客員教授。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『スパイはなんでも知っている』(新潮社)などがある。
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