「医師不足」の真相から目をそらすな

2008年10月号
カテゴリ: 経済政策・社会保障
エリア: 日本

公立病院に危機が迫っているのは確かだ。しかし役所は問題の根源である「開業医優遇」をいまだ放置したままだ。「いい発想には気分転換が必要。温泉に入るのも無駄じゃありません」 医師不足対策を話し合う検討会を湯河原温泉で開くのは税金の無駄との批判を受け、そう抗弁した舛添要一厚生労働相。ところが、この発言の翌日に湯河原開催は撤回された。 検討会は八月二十七日、医師不足解消に向けた中間報告をまとめたが、内容は病院の産科医・救急医への手当新設や医学部定員の一・五倍増など、安易な対症療法ばかり。やはり気分転換なしでは、いい発想は出てこないらしい。 そもそも、厚生労働省は「医師を増やせば医療費も増える」と、これまで医師数抑制を主張してきたはずなのに、中間報告は方針を百八十度転換した理由を一切説明していない。それどころか、なぜ「医師不足」が発生したのかを検討した形跡すらないのだ。 それもそのはず。医師は不足するどころか増えている。医師不足は二〇〇四年度に始まった新しい臨床研修制度がきっかけとされるが、全国の病院勤務医は〇二年の十五万九千百三十一人が〇六年は十六万八千三百二十七人と、四年間で九千百九十六人、五・八%増加した。診療所で働く医師も四千七百七十人増え、医師全体ではおよそ一万四千人多くなっている。

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