「強欲」ロシア経済がグルジアと金融危機で暗転

執筆者:酒戸充 2008年11月号
エリア: ロシア

いまや売り抜けに必死のロシアの“エリート”たち。縮小する利権の再分配をめぐって、新たな権力闘争の予兆も――。[モスクワ発]ロシアが思わぬ敵に悩まされている。八月初めのロシアのグルジア侵攻をきっかけとする「ロシア売り」が、米リーマン・ブラザーズの破綻に始まった世界的な金融危機で加速し、強硬路線の背景となっていた好調な経済が、陰りを鮮明にしたからだ。政府は緊急金融市場対策を打ち出したが、市場関係者の間では悲観ムードが支配的だ。 九月十八日、クレムリンでメドベージェフ大統領とクドリン副首相兼財務相が急遽会談した。大統領執務室に近い広間にはロシア銀行(中央銀行)のイグナチエフ総裁のほか、三大銀行の国営貯蓄銀行、国営対外貿易銀行、民間ガスプロム銀行の頭取らが緊張した面持ちで控えていた。まず、クドリン氏が入室、次いで大統領が登場すると全員が起立で出迎え、大統領の言葉を待った。「われわれは断固とした措置をとることを決めた。資金は豊富にある。ロシア経済に不安はない」。緊急対策を公表した瞬間だった。クドリン財務相は五千億ルーブル(約二兆円)の公的資金を投入する株式買い支え策と、銀行の流動性不足に対応するための大幅な貸出枠増加などの具体策を発表した。迅速で予想を上回る規模の措置から、金融不安に対する政権の危機感が伝わってくる。

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