長距離「無敵のアフリカ」を作ったのは日本か

執筆者:生島淳 2008年11月号
カテゴリ: スポーツ 国際
エリア: アフリカ

 今夏、男子マラソンはアフリカ勢によってこれまでの想像を超える「高速化」の時代に突入した。これからは別次元の戦いが展開されていくだろう。 その口火を切ったのは北京五輪の優勝者、サムエル・ワンジル(ケニア)。北京の優勝タイムは二時間八分から九分前後と予想されていたが、二時間六分三十二秒の五輪新記録をマーク、真夏のスピードレースが現実のものとなった。 さらに九月、ベルリン・マラソンで世界記録保持者のハイレ・ゲブレシラシエ(エチオピア)が、二時間三分五十九秒の驚異的なタイムで記録を更新する。 北京五輪に尾方剛、佐藤敦之の二人を送り出した中国電力の坂口泰監督は「日本人が何世代かかっても出せないタイム。それでも勝負には勝てる。日本人も諦めてはいけない」とコメントしたが、これだけの高速化に対応できる日本人選手はいまのところ見当たらない。 なぜ、マラソンがこれだけのスピードを誇るようになったのか。それはアフリカ勢がトラックの強化に力を注ぎ、その距離がどんどん伸びて、マラソンに波及した結果である。彼らにとって「マラソンは金のなる木」だということが分かったのだ。 五輪でのトラック競技長距離種目、五千、一万メートルの歴史を振り返ってみると、非アフリカ人のメダル獲得者は、一九九二年のバルセロナ大会でバウマン(ドイツ)が五千で金メダルを獲得してから、一人もいない。九六年のアトランタ大会からのメダル獲得国を見ると、ブルンジ、ケニア、モロッコ、エチオピア、アルジェリア、エリトリアのアフリカ六カ国。しかも北京大会では強豪のエチオピアとケニアの独占になっている。

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執筆者プロフィール
生島淳 1967年生れ。広告代理店勤務を経て93年よりライターとして活躍。著書に『大国アメリカはスポーツで動く』(新潮社)など。
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