「環境のため」だけではない三菱化学のバイオ活用――脱石油を目指すプラスチック 2

執筆者:船木春仁 2008年11月号
カテゴリ: 経済・ビジネス

 二〇〇七年一〇月、帝人は米穀物商社カーギル傘下のポリ乳酸メーカーであるネイチャーワークス(米ミネソタ州)に資本参加すると発表した。出資比率は五〇%で、出資額は非公表。ポリ乳酸は、トウモロコシなどを原料とする非化石=植物由来のバイオプラスチックで、それ自身がプラスチックであると同時に、他のプラスチックと混ぜ合わせて多様な機能を実現する「ベースポリマー」だ。バイオプラスチックのベースポリマーとしては、ポリ乳酸ほど実用化が進んでいるものはない。 ネイチャーワークスは、カーギルが流通を支配する膨大な量のトウモロコシの高付加価値利用の一環として、一九九七年の創業以来、ポリ乳酸をほぼ独占的に供給してきた。 合弁の決断はきわめて合理的だ。環境経営のグローバル展開を図る帝人と、ポリ乳酸の用途を拡大したいカーギル。両社の思惑は一致する。しかし、このニュースに一番驚いたのは、他でもない帝人の関係者たちである。帝人にはポリ乳酸の専任部署があるわけではなく、いくつかのプロジェクトが新規事業扱いで進められているにすぎないが、独自の製法でポリ乳酸の製造を進め、ネイチャーワークスに対抗する勢力になると考えられていた。武蔵野化学研究所と共同開発した耐熱性のポリ乳酸「バイオフロント」をマツダ車のシート材として納入するなど製品開発でも先駆的存在だった。

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