農林中金の「傷」は本当に深くないのか

執筆者: 2008年12月号
タグ: 日本

投資銀行を気取った農林中金を始め、系統金融機関が法律による“救済”の対象に加えられた。金融界の闇の奥には何があるのか――。 世界的な金融危機の中で、日本の金融システムの構造的なモロさが、再び露呈してきた。欧米の金融機関が相次いで流動性や資本の不足に陥り、公的資金の注入を受け入れているのを横目に、「相対的には日本の金融システムは健全だ」と麻生太郎首相は言い続ける。果たしてその言葉は真実なのか、それとも危機の引き金を引かないための方便なのか。日本の金融界に垂れ込めた闇は一段と深まるばかりだ。 十月二十四日、金融機関に対する予防的な公的資金の注入を可能にする「金融機能強化法案」が閣議決定された。サブプライムローン問題に端を発した今回の金融危機が「百年に一度の津波」であることが世界の共通認識となった主要七カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)から二週間。米リーマン・ブラザーズ破綻から一カ月余りという、日本としては異例の速さの法案提出だった。

カテゴリ: 経済・ビジネス
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top